輕皇子宿于安騎野時柿本朝臣人麻呂作歌
八隅知之 吾大王 高照 日之皇子 神長柄 神佐備世須登 太敷爲 京乎置而 隱口乃 泊瀬山者 眞木立 荒山道乎 石根 禁樹押靡 坂鳥乃 朝越座而 玉限 夕去來者 三雪落 阿騎乃大野尒 旗須爲寸 四能乎押靡 草枕 多日夜取世須 古昔念而
やすみしし 吾が大君 高照らす 日の皇子 神ながら 神さびせすと 太敷かす 都をおきて こもりくの 初瀬の山は 眞木立つ 荒山道を 岩が根 さへ樹押しなべ 坂鳥の 朝越えまして 玉かぎる 夕さり来れば み雪ふる 阿騎の大野に 旗すすき そのをおしなべ 草枕 旅宿りせす いにしへ思ひて
澤瀉久孝著「万葉集注釈」1より