九之一
齧缼。問乎王倪曰、子知物之所同是乎、曰、吾悪乎知之、子知子之所不知邪、曰、吾悪乎知之、然則物無知邪、曰、吾悪乎知之、
齧欠、王倪に問いて曰わく、子は物の同じく是とする所を知るかと。曰わく、吾れ悪くんぞこれを知らんと。子は子の知らざる所を知るか。曰わく、吾れ悪くんぞこれを知らんと。然らば則ち物は知ること無きか。曰わく、吾悪くんぞこれを知らん。
齧欠が[先生の]王倪にたずねた、「先生はすべての存在がひとしく善しとして認めるような[絶対的な価値を持つ]ものをご存知でしょうか。」[王倪は]答えた、「わしに、どうしてそれが分かろう。」「先生はご自分の分からないところをご存知でしょうか。」「わしにどうしてそれが分かろう。」「それでは、すべての物は何も分からないのですか。」「わしに、どうしてそれが分かろう。