十一之四
予惡乎知説生之非惑邪、予悪乎知惡死之非弱喪而不知歸者邪、麗之姫、艾封人之之也、晉國之始得之也、涕泣沾襟、
予れ惡くんぞ生を説(よろこ)ぶことの惑いに非ざるを知らんや。予れ惡くんぞ死を惡(にく)むことの、弱喪して帰るを知らざる者に非ざるを知らんや。麗の姫は艾の封人の子なり。晋国の始めてこれを得るや、涕泣して襟を沾せるも、
生を喜ぶことが悪い[であるかも知れない、そう]でないとわたしには決められない。死を憎むことが、幼いころに故鄕を離れて帰ることを忘れた者と同じで[あるかも知れない、そうで]ないとは、わたしには決められない。麗姫は[麗戎国の]艾の地の国境役人の娘だが、始めて晋の国につれていかれようとしたときは、さめざめと泣き悲しんで涙で襟を濡らすほどであったのに、