二之三
子而説子之執政、而後人者也、聞之、曰、鑑明則塵垢不止。止則不明也、久與賢人處、則无過、今子之所取大者、先生也、而猶出言若是、不亦過乎、
子は而(すなわ)ち子の執政を説(よろこ)びて、人に後るる者なり。これを聞く、曰わく、鑑(かがみ)明らかなれば則ち塵垢止まらず、止まれば則ち明らかならずと。久しく賢人と処れば、則ち過ちなし。今、子の大を取る所の者は、先生なり。而も猶お言を出すこと是くの若し、亦た過たずやと。
君は自分が宰相であることを喜んで、そのために人より進歩がおくれているものだ。こういうことばがある、『鏡が光っていれば塵はつかない。塵がつくのは鏡が曇っていつのだ。』とね。長いあいだすぐれた人といっしょにいると、過ちはなくなるものだが、いま君の尊敬して従っているのは、[われわれのあの]せんせいだよ。それなのにまだそんなことを口にするとは、ひどい過ちじゃないか。」