三之一
魯有兀者叔山无趾、踵見仲尼、仲尼曰、子不謹前、既犯患若是矣、雖今来、何及矣、无趾曰、若唯不知務、而輕用吾身、吾是以亡足、
魯に兀者の叔山无趾あり、踵に仲尼に見ゆ。仲尼曰わく、子前を謹まず、既に患に犯(あ)うこと是の若し。今来たると雖も、何ぞ及ばんと。無趾曰わく。吾れ唯だ務めを知らずして、軽々しくわが身を用う。吾れ是を以て足を亡えり。
魯の国に刑罰で足の筋を切られた叔山無趾という男がいて、たびたび孔子にあいに来た。孔子はいった、「君はこれまで身を慎まなかったために、刑にふれてこんなざまになったのだ。今ごろやって来ても、もう手遅れだ。」無趾は答えた、「わたしはただ人の世の務めをわきまえないで、軽率にわが身をふるまっただけです。わたしはそのために足をなくしました。