九之一
顔囘曰、囘益矣、仲尼曰、何謂也、曰、囘忘仁義矣、曰可矣、猶未也、它日復見曰、囘益矣、曰、何謂也、曰、囘忘禮樂矣、
顔回曰わく、回は益せりと。仲尼曰わく、何の謂いぞやと。曰わく、回は仁義を忘れたりと。曰わく、可なり、猶お未だしきなりと。它日、復見えて曰わく、回は益せりと。曰わく、何の謂いぞやと。曰わく、回は礼楽をわすれたりと。
顔回がいった、「わたくし、進境がありました。」仲尼はたずねた、「どういうことだね。」「わたしくは仁義のことを忘れてしまいました。」「よろしい。だがまだじゅうぶんではない。」別の日「顔回は]また面会するといった。「わたくし。進境がありました。」「どういうことだね。」わたくしは礼や楽のことを忘れてしまいました。」