
一之二十四
不適人之適、而不自適其適、雖盗跖與伯夷、是同爲淫僻也、余愧乎道徳、是以上不敢爲仁義之操、而下不敢淫僻之行也、
夫れ人の適を適として、自ら其の適を適とせざれば、盗跖と伯夷と雖も、是れ同じく淫僻を為すなり。余れ道徳に愧ず。是を以て上は敢えて仁義の操を為さず、而して下は敢えて淫僻の行を為さざるなり。
いったい、他人の楽しみをわが楽しみにして、われとわが身のほんとうの楽しみを楽しみとしないという点からすると、大泥棒の盗跖も名節の伯夷も、同じように[主体性を失った]まともでないかたよったことをしているのだ。私は、真実の道徳の前で恥ずかしいと思う。だから、上は進んで仁義の行為なをしようなどとは思わないし、下はまともでないかたよった行為をしようなどとも思わない。