三之一
子路曰、衞君待之而爲政、子將奚先、子曰、必也正名乎、子路曰、有是哉、子之迂也、奚其正、子曰、野哉由也、君子於其所不知、蓋闕如也、
子路が曰わく、衞の君、子を待ちて政を為さば、子の將に奚をか先きにせん。子の曰わく、必らずや名を正さんか。子路が曰わく、是有るかな、子の迂なるや。奚ぞ其れ正さん。子の曰わく、野なるかな、由や。君子は其の知らざる所に於いて、蓋闕如たり。
子路がいった、「衛の殿さまが先生をお迎えして政治をなさることになれば、先生は何から先きになさいますか。」先生はいわれた、「せめて名を正すことだね。」子路はいった、「これですか、先生のまわり遠さは。[この急場にそんまものを]どうしてまた正すのです。」先生はいわれた、「がさつだね、由は。君子は自分の分からないことではだまっているものだ。