三十五
子曰、驥不稱其力、稱其徳也、
子の曰わく、驥は其の力を称せず、其の徳を称す。
先生がいわれた、「名馬はその力をほめられるのではなくて、その徳(性質のよさ)をほめられるのだ。」
三十六
或曰、以徳報怨、何如、子曰、何以報徳、以直報怨、以徳報徳、
或る人曰わく、徳を以て怨みに報いば、何如、子の曰わく、何を以てか徳に報いん。直きを以て怨みに報い、徳を以て徳に報ゆ。
ある人が「恩徳で怨みのしかえしをするのは、いかがでしょうか。」といった。先生はいわれた、「では恩徳のおかえしには何をするのですか。真っ直ぐな正しさで怨みにむくい、恩徳によって恩徳におかえしすることです。」