燕燕
其一
燕燕于飛 差池其羽 燕燕于(ここ)に飛び 其の羽を差池す
之于于歸 遠送于野 之の子 于に歸る 遠く野に送る
瞻望不及 泣涕如雨 瞻望すれども及ばず 泣涕雨の如し
燕が並び飛んで 羽根がひらひらと入り交じわる
彼女が帰って往くのを 遠く野に見送る
影の見えなくなるまで見送って 涙が雨のようにさめざめと流れる
燕燕于飛 頡之頏之 燕燕于(ここ)に飛び 之を頡し之を頏す
之于于歸 遠于將之 之の子 于に歸る 遠く于に之を將る
瞻望弗及 佇立以泣 瞻望すれども及ばず 佇立して以て泣く
燕が並び飛んで 上になり下になってひらひら飛ぶ
彼女が帰って往くのを はるばる遠く于に之を將る
影も見えなくなって ひとり佇んで泣くばかり