
山有樞
山有樞 隰有楡 山に樞有り 隰に楡有り
子有衣裳 弗馳弗驅 子に衣裳有るも 曳かず婁かず
子有車馬 弗馳弗驅 子に車馬有るも 馳せず驅らず
宛其死矣 他人是愉 宛として其れ死せば 他人是れ愉まん
山には樞 沢には楡
衣裳があるのに 着ずにおる
車馬があるのに 乗らずにおる
このまま死んだら 他人が奪って楽しもう
山有栲 隰有杻 山に栲有り 隰に杻有り
子有廷内 弗酒弗掃 子に廷内有るも 酒せず掃せず
子有鐘鼓 弗鼓弗考 子に鐘鼓有るも 鼓せず考せず
宛其死矣 他人是保 宛として其れ死せば 他人是れ保たん
山には栲あり 隰には杻有り
子に廷内有るも 酒せず掃せず
子に鐘鼓有るも 鼓せず考せず
宛として其れ死せば 他人是れ保たん
山有漆 隰有栗 山に漆有り 隰に栗有り
子有酒食 何不日鼓瑟 子には酒食有り 何ぞ日に瑟を鼓せず
且以喜樂 且以永日 且つ以て喜樂し 且つ以て日を永うせん
宛其死矣 他人入室 宛として其れ死せば 他人室に入らん
山には漆あり 沢には栗
酒や肴があるのに 琴を鳴らして楽しまぬ
遊び楽しみ その日を永く暮らさねば
このまま死んだら 他人がごっそり物にする