2009年 01月 24日 ( 1 )
2009年1月24日
良寛「天上大風」

先の六曲一双屏風は光のような輝きをもった造形が飛翔するが、明らかな造形は出てこない。だが、同じ良寛でも「天上大風」はその形を指で描くことが出来る。実物は見たことがない。作品集の中で出会った。

躍動感というよりも力を内包した、おだやかな運筆の深さを感じる。楷書で書かれているが、学校のお手本のようには整斉とはしていない。大愚と自分のことを称した良寛の真骨頂がここにあるといえる。
左に傾きかけたその形はのどかである。だが、縦長にウエストを締め気味に背勢で書かれた形は、決して愚鈍ではない。どこか理知的でもある。
空を舞っている凧の中に真っ白な凧を見て「天上大風」と書いてあげた、というエピソードは子供好きの良寛の優しさを端的に表している。

天の一画を強い起筆で短く、そして二画目は長く、二つの線は間をたっぷりと取られた。左払いの三画目は一画目とは交差しないで、離れたところに筆をおろし、ゆったりとした呼吸で筆先は細めず、ふっと引き上げ右払いへと向かう。静かに筆先でさわり、のどかに軽く筆圧をかけ、その圧力を水平に保ちながら運び、払いのところで無造作に横に祓い、ふっと筆を上げ上へと向かう。力の充実した短い横画を引き、筆はやや逆入しながら縦画の起筆をしっかりと打ち、揺れながら動き横画の起筆を力強く打ち込む。刻むように、だが軽やかに線を引く。横線から頭を長く出しながら、左払いを悠々と引き右払いの最終のところで方向を変えそのまますっと筆を抜く。そして最後の風。この形の微妙なおかしさは、どんな風よりもかっこいい。下手上手の最たるもので最後の二画の収まりは絶妙。

後で本を見たら随分勝手なことを書いている、一興なのでこのままにする。
by mteisi | 2009-01-24 21:59 | 歴史的な作家と書