
退朝望終南山
李拯
紫宸朝罷綴鵷鸞 丹鳳樓前駐馬看 唯有終南山色在 晴明依舊滿長安
朝より退ぞいて終南山を望む
李拯
紫宸朝罷んで鵷鸞を綴り 丹鳳樓前馬を駐めて看る 唯終南山色の在る有り 晴明舊に依って長安に滿つ
紫宸殿における朝見の儀を終えて、文武百官は粛々として行列正しく退出した。自分もその一人として外へ出ると、丹鳳門の前で馬をとめて南方を眺めた。ここは髙臺の地なので遠方がよく見える。ああ、何もかも変わり果てた世の中に、ただ終南山だけは昔のまま晴れて明るく、長安の町中にそのみずみずしい姿を見せている。