
二之一
葉公子高、將使於齊、問於仲尼曰、王使諸梁也、甚重、齊之待使者、蓋少甚敬而不急、匹夫猶未可動也、而況諸侯御、吾甚慄之、子嘗語諸梁也、
葉公子高、将に斉に使いせんとし、仲尼に問いて曰わく、王の諸梁を使いせしむるや、甚だ重し。斉の使者を待つは、蓋し将に甚だ敬しながら急がざらんとす。匹夫すら猶お未だ動かすべからず。而るを況んや諸侯をや。吾れ甚だこれを慄る。子嘗て諸梁に語れり、
[楚の国の]葉公子高は、国使として斉の国へ行くことになったとき、仲尼に意見を求めてこういった。「王さまがこの私にあたえられ使命は、非常に重大です。[しかし]あいての斉では、使者に対して恐らく非常に鄭重にもてなしはしても、急の交渉には応じないでしょう。あいてがふつうの男でさえ、なかなか心を変えさせることができないのに、ましたあいてが諸侯では、なおさらのことです。私はこの事態をとても心配しているのです。あなたはいつか私に話されたことがあります。