
四之一
陽之居、見老聃曰、有人於此、嚮疾彊梁、徇徹疏明、學道不勌、如是者、可比明王乎、老聃曰、是於聖人也、胥易技係、勞形■(忄木)心者也、
陽之居、老聃に見えて曰わく、此に人あり、嚮疾彊梁、徇徹疏明、道を学んで勌まず、是くの如き者は、明王に比すべきかと。老聃曰わく、是れ聖人に於けるや、胥易技係、形を労し心を(忄木・おそれ)しむる者なり。
陽之居が老聃に面会してたずねた、「ここに一人の人物がおります、敏捷強健、思慮がゆきわたって聡明で、怠りなく道を学んでいます。このよう人物は明徳の王者にも並べられるでしょうか。」老聃は答えた、「それは、[明徳の王者といった]聖人からすると、つまらないことに思慮をめぐらして仕事にとらわれ、身を苦しめて心をさいなんでいる者だ。