カテゴリ:七絶( 60 )
蘇東坡
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和文與可洋川園池三十首 横湖

 蘇東坡

貧看翠蓋擁紅粧 不覺湖邊一夜霜 巻却天機雲錦段 從敎匹練寫秋光


文與可の洋川園池三十首に和す 横湖

 蘇東坡

翠蓋の紅粧を擁するを貧り看て 覺えず湖邊一夜の霜 天機の雲錦段を巻却して 匹練をして秋光を寫さ敎むるに從せよ


あなたは、みどりの笠をさしかけてもらって立つ、紅化粧した美人を貪り見ていて、思わず湖のほとりに立ちつくして一夜を明かしてしまい、霜のおりるのにも気づかれないことだろう。天工の織り成せる雲溪・錦溪の産なる緞子の巻きおさめられたあとは、一匹のねりぎぬに思う存分、秋の陽光を写すにまかせておられるがよい。


by mteisi | 2014-05-27 06:56 | 七絶
蘇東坡

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山邨五絶

 蘇東坡

杖藜裹飯去怱怱 過眼青錢轉手空 贏得兒童語音好 一年強半在城中


山邨五絶

 蘇東坡

杖藜飯を裹んで去って怱怱 眼を過ぐる青錢手を轉ずれば空し 贏ち得たり兒童語音好きを 一年の強半は城中に在り


藜をつえつき、おむすびをつつんで、[青苗錢をうけとりに]せかせかと街へ出かけたものの、お金はちらっと眼にうつっただけで、たちまち他人の手に渡っていってしまい、あとにはなにも残らなかった。もうけものとなったのは、子どものことばが上品になったことぐらい。それもそのはず、一年の大半を街で暮らすのだから。


by mteisi | 2014-05-26 08:28 | 七絶
蘇東坡
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山邨五絶

 蘇東坡

老翁七十自腰鎌 慚愧春山筍蕨甜 豈是聞韶解忘味 邇來三月食無盬


山邨五絶

 蘇東坡

老翁七十自ら鎌を腰にす 慚愧す春山筍蕨の甜きを 豈是れ韶を聞いて解く味を忘るるならんや 邇來三月食に盬無し


七十歳になる老いた農夫が、自ら鎌を腰にさして出かける。なんとまあ、春の山の筍や蕨のおいしいことは。といって、あの孔子さまのように、韶の音楽を聞いて感動のあまり、肉のあじもわからなくなっているのではない。それどころか、この三月というもの、まるで塩気なしの食事が続いているのだ。


by mteisi | 2014-05-25 08:02 | 七絶
蘇東坡
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山邨五絶

 蘇東坡

烟雨濛濛雞犬聲 有生何處不安生 但令黄犢無人佩 布穀何勞也勸耕


山邨五絶

 蘇東坡

烟雨濛濛として雞犬の聲あり 有生何れの處にか生を安んぜざる 但だ黄犢をして人の佩ぶる無から令めば 布穀何んぞ勞せん也た耕を勸むることに


きりさめにぼおっとけむった農村から、鶏の声、犬の声が聞こえてくる、生きとし生けるもの、この世のいずくにとて、その生に安んじる所があろう。[むかし龔遂は渤海太守となり、農民が腰にたばさむ刀剣を売らせて子牛を買わせたことがある。だから、いまも]百姓の中に子牛を腰に佩びているようなものを、いなくさえすれば、なにも郭公にご苦労ねがて、農耕を勧めて鳴いてもらうこともなかろうに。


by mteisi | 2014-05-24 07:57 | 七絶
蘇東坡
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飮湖上初晴後雨 

 蘇東坡

水光瀲灩晴方好 山色空濛雨亦奇 欲把西湖比西子 淡粧濃抹璁相宜


湖上に飮む初めは晴れ後雨ふる 

 蘇東坡

水光瀲灩として晴れて方に好よ 山色空濛として雨も亦た奇なり 西湖を把って西子に比せんと欲すれば 淡粧濃抹璁て相宜し


さざ波が湖のおも一面にキラキラとかがやく、あのすばらしさは、今朝のように晴れ渡っていてこそだ。ところで日暮れがたのいま、うん、雨のけしきもなかなかいいぞ。そうだ、この西湖を、美人のきこえ高いあの西施にたとえてみよう。薄化粧もよろしい。厚化粧もよろしい。なんでもよく似合うというわけだ。


by mteisi | 2014-05-23 07:49 | 七絶
蘇東坡
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飮湖上初晴後雨 二首

 蘇東坡

朝曦迎客豔重岡 晩雨留人入酔鄕 此意自佳君不會 一杯當屬水仙王


湖上に飮む初めは晴れ後雨ふる 二首

 蘇東坡

朝曦客を迎へて重岡に豔なり 晩雨人を留めて酔鄕に入らしむ 此の意自ら佳し君會せず 一杯當に水仙王に屬すべし


今朝は朝日がたたなわる山垣にあでやかな光彩をそえて、探春の客を歓迎し、夕の雨はわたしをひきとめて、いま酔鄕につれこんでしまった。このいい気持ちときては、ちょっと言いあらわしようもない。君にはまずあわかりになるまい。この一杯は湖上にみえるあの廟にいます水仙王さんにさすとしよう。


by mteisi | 2014-05-22 07:39 | 七絶
蘇東坡
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贈孫莘老

 蘇東坡

嗟予璵子久離羣 耳冷心灰百不聞 若對青山談世事 當須擧白便浮君



贈孫莘老に贈る

 蘇東坡

嗟予子と久しく羣を離る 耳冷に心灰して百聞かず 若し青山に對して世事を談せば 當に須らく白を擧げ便ち君を浮すべし


ああ、わたしもあなたももうながいこと友だちと離れており、耳は冷え心も灰のようにかわききって、世の中のことはなにも聞こえてまいりません。いまこの青山に対いあっていながら、もしもいとわしい世の中のことを談ずるようなことをなさるなら、杯を挙げて君に罰杯を飲ませずにはおきませんぞ。


by mteisi | 2014-05-21 08:07 | 七絶
蘇東坡
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冬至日獨遊吉祥寺

 蘇東坡

井底微陽囘未囘 蕭蕭寒雨濕枯荄 何人更似蘇夫子 不是花時肯獨來


冬至の日獨り吉祥寺に遊ぶ

 蘇東坡

井底の微陽囘るや囘らずや 蕭蕭たる寒雨枯荄を濕す 何人か更に似ん蘇夫子に 花の時にならざるに肯て獨り來る


今日こそは、井戸の底に微かな陽気が帰ってきたであろうか。見るからに寒ざむとした雨が、冬枯れした草の根をうるおしてゆく。花どきでもないのに、わざわざひとり吉祥寺を訪ねて来る蘇先生のようなまねをする人が、まだほかにもいることだろうか。


by mteisi | 2014-05-20 08:09 | 七絶
蘇東坡
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望海樓晩景

 蘇東坡

青山斷處塔層層 隔岸人家喚欲オウ(應) 江上秋風晩來急 爲傳鐘鼓到西興


望海樓晩景

 蘇東坡

青山斷ゆる處塔層層 岸を隔つる人家喚べば應えんと欲す 江上の秋風晩來急なり 爲に鐘鼓を傳へて西興に到る


青い山なみの断ち切れたあたりに、塔が高くそびえている。向こう岸に見える家々は呼びかければ答えるかのようである。錢塘江を渡る秋風は日暮時から強くなってきた。杭州の町で時を告げる鐘や太鼓の音を、われわれのためにむこう岸の聲興までのせていってくれ。


by mteisi | 2014-05-19 07:51 | 七絶
蘇東坡
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夜泛西湖五絶其五

 蘇東坡

湖光非鬼亦非仙 風恬浪静光滿川 須臾兩兩入寺去 就視不見空茫然


夜西湖に泛ぶ五絶其五

 蘇東坡

湖光は鬼に非ず亦仙に非ず 風恬に浪静かにして光川に滿てり 須臾にして兩兩寺に入って去る 就いて視れば見えず空しく茫然たり


湖光は幽鬼のしわざでもなければ仙人がするものではないはずなのに、風はなぎ浪も静かに湖面いっぱいに輝きわたるのだった。そしてまもなく、二つずづ並んで寺へ入ってゆくので、近づいてよく見ようとすると、ふっとみえなくなり、あとにはうつろな広い湖面のひろがりがのこされているだけだった。


by mteisi | 2014-05-18 07:43 | 七絶