一之二十二
任其性命之情而已矣、吾所謂聰者、非謂其聞彼也、吾所謂明者、非謂其見彼也、自見而已矣、
其の性命の情に任ずるのみ。吾が謂わゆる聰とは、其の彼を聞くを謂うに非ざるなり。自ら聞くのみ。吾が謂わゆる明とは、其の彼を見るを謂う非ざるなり。自ら見るのみ。
その本ではなくて、その性命の自然なありかたにこそまかせることだ。私のいう耳がさといとは、あの音いろを聞き分けるようなことをいうのではなくて、自分の[内なる自然な呼び声]を聞きとることだ。私のいう目がさといとは、あの色を見分けるようなことをいうのではなくて、自分[の内なる自然な持ちまえ]を見ることだ。