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王羲之
王羲之は書の世界では書聖と呼ばれ、どんな書よりも書の中心に置かれている人物。その前にも様々な書はあり、その後も沢山の書は生まれたが、その位置が変わることは無かった。
簡単にいえばウエストのくびれた右上がりの、瀟洒で颯爽とした書を書いた人。王羲之以後、大小・肥痩・疎密・強弱等々の変化によって、ドラマチックに見せることが始まった。草書と行書や楷書が混在される表現法は格好の自己表現の場だが、最近の書壇ではあまり見られない。
唐以後の書で、全く王羲之の影響を受けていない能書家を見出すのは難しいが、清代まで下ると出てくる。
王羲之に対する批判は知っている中では韓愈会津八一は俗調だと嫌い、柳宗悦は王羲之一個人の個性をなぜみんなが習うのかと批判している。私も王羲之の影響をたっぷり受けた一人で、その影響を消したいと思うが、無理に消すのもどうかなと思っているところ。
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孔侍中帖と呼ばれる尺牘(手紙)を臨書してみた。
# by mteisi | 2008-09-23 18:42 | 歴史的な作家と書
陶印
作品を作る時は、印も自分で作ったものを使うようにしている。独自の主張をしたときは篆刻家や印鑑屋さんの印では不似合いな場合が多い。特に従来の表現よりも何か違うものを作る時は、印にも新しい主張が欲しいと思っている。
陶印は石のものより線の表情が面白く上がる。きっちりとした技術を学ぶときは石で線の表情の出し方を身につけなくてはならないが、楽しむには陶印が適当かもしれない。
大人の方にも作ってもらったが、子どものものが形など面白いものが多かったので見てもらいたい。
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芙美ちゃん。土いじりが好きで轆轤も要領がよかった。形も装飾も面白い。
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祐理ちゃん。印作りが好きでいつも心待ちにしている。奥村の印は特に素晴らしい。
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太基君。意外とこった造形を作った。初めてだったが、底力を発揮した感じ。
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栞ちゃん。アルファベットが面白い。浅井はおじいちゃん。
# by mteisi | 2008-09-21 18:46 | 児童の指導
絵は
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絵はモナリザ・最後の晩餐・印象派・マネ・モネ・セザンヌ・ルノアール・キュビズム・ピカソ・ブラック・ポロック・ウォホール・等々並べればもっと沢山の名前を知っているし、その作品をイメージできる人は結構多いのではなかろうか。
ところで王羲之・鄭道昭・智永・虞世南・欧陽詢・褚遂良・顔真卿・蘇東坡・黄山谷・祝允明・八大山人・何紹基・王鐸・空海・最澄・佐理・定家・道風・大燈国師・光悦・良寛・慈雲・池大雅・白隠・仙厓などの名前を知っていて、作品が思い当たる人は日本の中にどれくらいいるのだろう。書は結構面白いものだと思うが、どういう人がどういう字を書いたかという情報がないと、ただ見ただけでは難しいのではなかろうか。大筆を持ってのパフォーマンスはエネルギーのほとばしりでそれとなく面白く感じれるが、色々な書を見て書のおいしいまずいを味わう人はとても少ないような気がしている。
もう少し情報を流す必要がある。
# by mteisi | 2008-09-20 23:21 | 歴史的な作家と書
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文字の中には人の姿が、いろいろな形で現れてくる。令もその一つで、礼冠を深々とかぶり跪いて神意を受けている形。みことのり・いいつける・よい・せしめる・たとえなどの意味がある。
人がどのような形で文字になっているか、面白いものを少しずつ紹介してみたい。卩はセツでひざまずく・しるしの意味があり、人が跪く形を表わしている。
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これは印の字で手で頭を押さえている形である。おさえる・しるし・はんの意味を持つ。
# by mteisi | 2008-09-18 22:44 | 語源で遊ぶ
五風十雨
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久し振りに昔の仕事に出会った。今作っている福岡書芸院の宣伝用の小冊子「SAI」の表紙に、1986年の「石印と書の会」のために制作した「五風十雨」使うことになった。当時は柳宗悦の民芸論に心酔していて、書表現も理解の出来ない漢詩より日常的な言葉を表現したり、理解できる漢字を書くことが書の真髄であると考えていた。篆刻も篆書を彫るだけではなく普通に読める字を彫ろうと、いろいろ彫っていた。カレンダーを作ったのが一番の傑作だったかもしれない。数字も全部手で押すので5.6部がやっとだったかもしれない。手許にあったカレンダーが見当たらなくて何月に当てていたか忘れたが、その中の一つがこの「五風十雨」。
この作品は10月にやる「KURASHIの中の美Ⅲ」でご一緒する染色と織りの中本扶佐子さんとの出会いの一作で、思い出深い作品の一つ。熊谷守一にも心底影響を受けていて、「五風十雨」の言葉も彼の作品集からもらった。書き出すと色々書くことが出てくる。
# by mteisi | 2008-09-18 00:31 | 自作の書