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稲作り
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今年の夏は、5時起きで早朝の草取りを2時間から2時間半およそ30日、ハードな一日を過ごした。稲と稗の分別の知識がないままの稲作り。
えせ百姓の師匠である、本百姓の中川さんから草取りは一度すれば大丈夫だからと聞いていた。
確かに3年前やった時はそれでよかった。だがその時は猪にやられて全滅だった。
今年も苗代ですったもんだしながらも、どうにか楽しい田植えも無事終了。あとは軽く草取りをして、猪に備えようと思っていた。
ある日、田圃は一面に緑。草取りが終わると二度目が待っていた。二度目が終わると三度目が。その時師匠が田圃を見て、「稲と稗のちがい解かりますか?」「節に産毛があるやつが稲。」一株全部引き抜いて、「これは稗」といって見せてくれた。
それから稗抜きが始まった。稗ばかりの株が沢山あって、綺麗な絨毯が凸凹の禿畑になってしまった。
# by mteisi | 2008-09-06 20:15 | 野良しごと
太基君
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子供達には出来るだけ沢山の書を見せたいと考えている。いろいろ見ておくと大人になった時、上質な書に対して拒否反応だけは起こさないですむ。
小学校5年生の太基君はじっくりと丁寧に書くタイプ。最初は嫌いだといっていた絵も、描いてみると魅力的な絵を書く。
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手製本を作るのに甲骨文を書いている。面白い本が出来そうだ。
# by mteisi | 2008-09-05 20:26 | 児童の指導
書の形
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金文・篆書・隷書・楷書・行書・草書で書を書いてみた。金文、篆書、草書は新たに字を覚えないと読めないが、金文は絵になっているので慣れてくると理解は早い。ところが草書はなかなか覚えるのが難しい。だが、抽象的な絵画性があり魅力的だ。
楷書の書は聿(イツ・ふで)と曰(エツ・いわく)との組み合わせだが、金文や篆書では聿と者を組み合わせたもの。者はものを表わすがかくすという意味もある。交叉させた木と曰からできている。曰は神への祈りの文を入れる器の口(サイ)の中に祝詞がある形。曰の上に木の枝を重ね、土(木の枝の間の点が土を表わす)をかけ、お土居(土の垣。土塁)を作る形である。殷代ではお土居で囲んで外からの襲撃に備えた。お土居の中にお札のようにして曰が埋められており、お札に書かれた文字を書という。邪霊などを祓うまじないとしてしるされた神聖な文字のことである。
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# by mteisi | 2008-09-04 06:23 | 語源で遊ぶ
翰墨三昧
「宙游・チュウユウ」という筆が出来上がった。中筆の瀟洒な筆で手紙を書いたり、条幅という大きな紙に大胆に筆を使って書くのも面白いだろう、というもの。
以前から取引のあった熊野の「平尾文明堂」に依頼して、魔法の筆なる自分の要求を全て満たす筆作りをやってみた。今回で3本目になる。最初は「風瓏・フウロウ」で2本目が「聚・シュウ」だった。両方とも似たような性質の筆だが、「風瓏」は筆管に牛角を使って自分なりに姿の気に入るものを作った。要求したのは蔵鋒と捻筆が適度な技術で使えるものを、だった。筆では最高といわれる羊毛の筆は、鋒先が柔らかいのでくっつきやすく筆先が開きにくい特徴がある。あたたか味のある線が引けるのだが、筆使いに癖がつきやすい。そこで天尾(馬尾毛)と山羊毛を混ぜて作ってもらった。羊毛のように柔らかくはないが、倒れた筆先を真っ直ぐにもどしたり開いたりするには、少々の技術がいる筆である。
字は筆先を屈伸しながら書けるようになると、奥行きある線が引ける。この技術で自分の字を書けばそれなりの字になる。形は嘘字でなければどんな形でもよい。力があれば法が後からついてくる。魅力的だといわれている中の、そのまた一流はそれまでなかった字で翰墨三昧をやっている。
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右から風瓏・聚・貴仙(これは文明堂製)・宙游・寸時(文明堂製のものに寸時の名をつけ、筆管を長く変えた)・古今(仮名筆で文明堂製)
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宙游のPRのために書いたもの。
# by mteisi | 2008-09-03 00:30 | 手仕事
饗宴
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食事に関する面白い文字を紹介しよう。上の文字のまん中にあるのが盛食の器。それに人が向き合っている様子で饗(キョウ・さかもり・もてなす)の字であり卿や郷の字でもある。犠牲を料理してその香りを神に奉げ、肉を饗宴の礼でいただくのである。卿はその礼にあずかる身分のものをいう。卿のあずかる領地を郷といい、郷党の代表も政治に参加し饗宴にあずかったのである。卿事寮という役職はその礼を司るものをいい、また、宰相の宰の字は辛(肉を切る刀)で牲肉を切り分ける役のものをいう。
左の即は盛食の器に向かっている形でソク食べたいのソク。つく・すなわちの意味がある。
既には盛食の器から顔を背けている形で、もういっぱいを表わす。キで意味はおわる・つきる・すでに。
このように人はいろいろな形で現れてくる。決して人偏だけが人を表わしているわけではない。
# by mteisi | 2008-08-30 20:54 | 語源で遊ぶ